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【御礼】マリンバリサイタルについて

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はじめに

明けましておめでとうございます。
昨年はたくさんのご縁に支えられ、充実した1年になりました。
今年もどうぞよろしくお願いします。

年末までに間に合いませんでしたが、半月前のリサイタルを振り返ります。

2019年12月15日、第二回目となる「越智亮太マリンバリサイタル」を福岡市東区のなみきスクエアにて開催いたしました。様々な世代の多くの方にご来場くださいまして、無事にひとつの舞台を終えることができました。ありがとうございました。心から御礼申し上げます。

 今年でマリンバを演奏し始めて10年目。今回も、マリンバを使用するオリジナル作品のみを取り上げたプログラムで構成しました。1部は「青」をテーマとした作品を、2部は打楽器アンサンブルの世界をお届けいたしました。

マリンバと「声」

 私は、歌が好きです。
 私は美しい民謡や唱歌が好きです。

 だからこそ、美しい声や美しい旋律を奏でる楽器にひときわ魅力を感じることがありました。
マリンバを演奏し始めた16歳の頃、そのような響きに憧れて、しばしば様々な音楽の旋律を楽器で演奏することが日々の楽しみになります。(小学生の頃から放課後はリコーダーで延々と世界中の唱歌を吹く少年だったので必然の流れだったのかもしれません。)
 マリンバは、一度音を鳴らすとすぐに音が消えてしまいます。フルートやトランペット、声のように音をのばすことができないのです。そこで、同じ音を何度も鳴らし、持続しているようにきかせる奏法であるマリンバの「トレモロ奏法」に魅力を感じていました。その奏法によるふわふわと包み込む音色が優しく、まるで声のようで没頭するように弾き続けていました。そして、本物の声と一緒に演奏したとき、どのような響きが生まれるのだろうと考えるようになっていました。

 結果として、今回の公演において一番の特徴となった女声合唱との共演ですが、合唱指揮者の今釜亮さんをはじめ、集ってくださった合唱団の皆様の大きな力添えのもとで実現したことは言うまでもありません。
今回、合唱団のメンバーは今釜さんがタクトを握ってらっしゃる2つの合唱団を中心に構成しました。1つは混声合唱団の「スプリッツァー」から女声有志の皆様。もう1つは「筑紫女学園大学合唱団 コーロ・ラーナ」の皆様。そして大分県など遠方からお越しくださった声楽家の方々。

総勢16名。

実は当初予定を上回る規模。楽譜の内容を案じた今釜先生が最善の人数へと調整してくださったのでした。そして、合唱の練習が始まりました。
 共演したのは、不協和音が約15分間続く難曲。だからこそ、ふわふわ浮かぶ世界観のなかで心地良い響きを感じられる曲ですが、歌う方々には大変な時間を割いていただくことになってしまいました。自分で合唱の音をとってみてもやはり大変で、どうなることだろうと思っていたのも束の間。初めての合唱との合奏でその心配は無用だと気づかされます。

第1回目の練習の様子@福岡・今泉

 第1回目の練習からとてもいいアンサンブルを聴かせてくださいまして、こちらも心地良く演奏させていただきました。今釜先生と合唱団のみなさまの結束や内容理解が素晴らしく、私の方が勉強不足になってしまってないかと思うほどです。非常に身が引き締まる思いの一方で、ともに音楽を創っていく喜びを感じさせていただきました。

私にとってほぼ全員が「初めまして」の状態から、本番まで結束を深めながらご一緒させて頂けて光栄でした。改めてありがとうございました。

当日リハーサルの様子
本番の様子①
本番の様子②

~実際に演奏を聴いてくださった方々へ~
マリンバと「声」の世界、いかがだったでしょうか?
優しく暖かく交わる木と声の音色。私はこの長年聴きたいと思っていた響きを、深く心の中にいつまでも宿しておきたいと思える響きでした。
この体験を、この先ぜひ同じように心にしまっていただけていると幸いです。

マリンバとマリンバ、マリンバと打楽器

 第1回からオファーをするも共演が叶わなかった打楽器奏者、永田大将(ひろのぶ)さんに改めてお願いし、今回お迎えすることが叶いました。
マリンバのデュオの作品にも素晴らしい作品がたくさんあります。しかし、楽器の性質上最も効果的にご鑑賞いただけるのは大きなホールしかないと思い、リサイタルの機会で絶対にこれらの作品を取り上げたいと考えていました。

 永田さんは大学時代の大先輩にして、奇跡的に近所に住んでいる演奏家です。以前から2人でマリンバの連弾企画を行っており、今回の共演でも第2部はまるで2人の演奏会のような雰囲気に。そして打楽器奏者のスティックさばきも捨てきれず、打楽器とマリンバの作品も取り上げさせていただきました。練習を始めて気づいたのですが、これはかなりキツイ(笑)
 こちらも本当に多大な時間を割いて練習してくださり、デュオとして対等に音楽づくりをしてくださいました。大きな力添えのもとで、非常に振り幅が大きく、盛りだくさんに感じられる内容になったことは間違いありません。まさに「華やか」な音色で会場を彩ってくださいました。

 今回のコンサートでの人気投票トップランクが打楽器とマリンバの作品となってしまい(笑)、やはり取り上げてよかったと思っております。打楽器のリズムが入ることで、マリンバの響きに輪郭が出るように引き締まり、一味違った雰囲気になるのだと思います。一方、マリンバ2台による音楽も響きの豊かさは何倍にも膨れ上がり、演奏している私も満たされた気持ちになりました。
 私にとっても貴重な体験を与えてくださった永田さんに、そしてその時間を共有してくださった皆様に心から感謝しています。ありがとうございました。

打楽器とマリンバ
見た目も非常に華やかです。
マリンバ2台のデュオ

越智亮太、マリンバの世界

 そんな大層なことを言っていいほどに、月日を踏んだわけではないですし、まだまだ尊敬するマリンバ奏者の皆様に比べると、経験も世界観もその量は少ないのですが、私自身ができること、私自身が経験したことをソロの演奏に反映しました。
 クリスチャンとして幼少期から歌ってきた讃美歌。コラール。私は平成から令和への節目と人生の節目をかけあわせて、10年前私が初めて演奏したマリンバ曲であるコラールを演奏致しました。それに加えて、実はプログラムにない讃美歌を1曲演奏しておりました。数名あとからご指摘(?)の言葉をいただきましたが、会場にお越しいただいたみなさまはお気づきでしょうか。私のもっともたる原点はここだと思います。そして、マリンバの魅力を感じた1つの原点もこういった音楽を奏でられるところです。
 そして、音楽を志したきっかけとなる、マリンバの巨匠・安倍圭子氏のマリンバ演奏を思い返しながらご本人作曲の豊かで美しい作品を演奏致しました。世界でマリンバ音楽が盛んになる中、私自身を題材に第1部の独奏を構成し、また、演出いたしました。

 様々な節目を迎えた今年度、さらに音楽のある喜びを伝えられるように歩んで参りたいと思います。実にたくさんのご協力のもと今回のステージを終えることができました。

ご来場の皆様、関係者各位、心から心からありがとうございました。

また、皆様にお会いできることを心待ちにして


マリンバ奏者
越智亮太

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